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2010,07,04, Sunday
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1996年十月に(株)週間釣りニュースさんの発行した媒体に掲載されたものです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◇サラシ サラシといえば、磯で見掛けるとおり、波が岩を越えたり、ぶつかってできる泡の集まりのことだ。 当たり前の現象なので、これを興味津々で眺めるのは、磯のルアーマンとメジナ釣り師ぐらいだろうが、ベテランでもサラシの深さや厚さを知っている人は少ない。 海は荒れ気味で、一見、辺り一面白くサラシているから、海面から底近くまで、あるいは少なくとも2メートルぐらいは泡が入っているように見える。 ところが、思った程、泡は深くには達していないものだ。 実際に潜って見ないと、判ることではないので、これを知っているのは、海女さんとサーファーぐらいだろう。 サーファーは沖へパドリング中、大波を越えきれないと判断したとき、ボードをノーズダイブさせて、波のパワーをやり過ごす。下は静かとということを知っているわけだ。 泡というか、空気というものは、凄い浮力なので、そうそうは潜れないのだ。 だからヒラスズキは、サラシの中で小魚を待っているわけではない。その下にいて、必要なときに一瞬だけサラシに突っ込んでくる。 昔、白間津というところで、未熟なヒラスズキが、岩上に取り残されたのを見たことがあるが、彼等にとっても、波やサラシそのものは危険なわけだ。 サラシは、下から見上げると、白く輝いていて、しかもそれほど眩しくはない。小魚のシルエットは、想像以上に良く見えるのだ。 ただし、ここにミノーを通して釣ろうとすると、サラシの濃度に応じてミノーの深度が浅すぎては発見されない恐れがあり、深すぎては、本体丸出しで見破られやすくなる。 サラシの中でルアーをリトリーブすると、海水の密度が少ない分、ルアーに受ける抵抗が軽くなり、そこで各ルアー特有の性質が現れてくる。 静水で、このルアーは何メートル潜るとかいった単純な深度ではないので、ルアーの設計では、随分と苦心した憶えがある。静水、流水、サラシ、塩分濃度、そしてラインの太さや入水角度が違えば、同一のルアーでも潜行深度は変わるものなのだが、その差の大小は、ルアー形状や浮力設定で調節が効く。 K-TEN系ミノーは、サラシの濃さと厚さで、深度が毎回変化して、サラシに紛れるでもなく、下へ出きってしまうこともない層を泳ぐことができる。 また、サラシが覆うどのタイミングで投げて、リトリーブするのかは、奥深く、これも一律ではないところが楽しい。普段から、意識してタイミングを変えてみるのも勉強になるはずだ。後は若干の運と、腕次第である。 人間から近づかなくても、昼間、向こうの方から来てくれる魚は、あまりいないが、ヒラスズキは、サラシという条件付きながら、その珍しいタイプの内のひとつである。 追記。〔一匹、例外があった。サラシも無いのに向こうから近づいてきた魚がいた。 ボートでシイラを追っているとき、ボートぐらいの巨大なブルーマーリンが斜め後方からやってきて、ギャフの届くところを、一分間ほど、イルカのように併走したことがある。 大きすぎて何も出来なかったが、その目はボートではなく我々を見ていたように感じた。いったいあれは何だったのだろう。〕 終わり。
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| エッセイ4 | 06:00 PM | comments (0) | trackback (0) | |
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2010,06,27, Sunday
以前書いた文章を載せます。
1996年一月に(株)週間釣りニュースさんの発行した媒体に掲載されたものです。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◇ハンデ 良いところがありますよ。と若手に教えられて、久々に夜のスズキ釣りを楽しんだ。 十数年前に、ほとんど全てのポイントにルアーを投げ込んだつもりになっていたが、そこは初めてだった。 干潮になると一部浅い所があって、ウェーダーを着用していれば、深みを避けつつ一キロ以上海の先へ出られる。 前日は80センチクラスが入れ食いだったと聞く。 当日は早々とリップルポッパーで釣ったものの、本命ポイントではライトを照らした小舟が入ってきて、モリでスズキを突き始めてしまった。それぐらい魚影が濃いのだが、たまに突き損なうものだから、スズキが散ってしまった。 しかし、よくぞこんな場所を見付けたものだ。最初に入った人は、釣れるかどうかの期待だけで、ルートの限られた暗い海の中を一キロ以上も歩いて行ったと思うと頭が下がる。 また、そうやってヒットした初めてのスズキが、どんなに嬉しかったか想像もできる。たとえ、それが既に知られていた場所だとしても、自分自身で捜したというところがいい。 ![]() このところのルアー熱はたいしたもので、有名ポイントは満杯といった状態だが、情報は片寄りがちで、実はまだまだ隠れた、あるいは忘れられたポイントはある。 ただ、いずれも条件付きで、ド干潮しか入れないとか、引き過ぎたらダメとか、雨後のみとか、風向き次第とか、晩春のの一時期とかの制約が多い。ヒットが集中するところ程、その傾向がある。 雑誌等に発表される情報は安全面も考慮して、恒常的なポイントが多いから入り易いが、本当にイイ思いをできることは少ない。 更なる興奮を求めるのなら、やはりいつの時代でもポイント開拓に尽きる。 元々ルアーフィッシングは、道具立てがシンプルで、そういう釣りにこそ相応しい。コマセ、スカリ、クーラー等が不要で、その気になればルアー数本という身軽さだ。 その反面、何でも自分たちで判断せねばならず、あえてハンデキャップを設けるようなことになる。 しかし、我々が魚を獲るのに、爆弾や網を使わないのも、イワシを巻かないのも、余裕と誇りからだけではないだろう。 そこには、どうしたらもっと楽しいかという自然な欲求がある。ハンデの設定は自由だ。とすれば情報のカットも立派なひとつの方法である。 もちろんこの情報に満ちた中で自らの行動力のみに頼ることは、実際の釣果を低下させるかもしれないが、一匹一匹の喜びの総計は、教えられて釣ったそれを必ず上回る。 少数だが、羨ましい釣りをしている人達がいる。
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| エッセイ4 | 04:57 PM | comments (0) | trackback (0) | |
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2010,05,20, Thursday
10年前のエッセイ?を載せます。(これを書いたのは2000年、2月)
最近の市場に出回っている重心移動システム入りルアーの幾つかを見ると、また注意が必要と感じました。メーカーの設計者さんを含め、ハンドメイドを楽しまれる方も、読んでみて下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ あと数年過ぎれば、K―TENシステムのパテントは、その権利期間を終える。それからは、誰でも、何処のメーカーでも自由に使用できるようになる。 そこで、そろそろ、お話しておきたいことがある。 既に、市場では様々な重心移動タイプのルアーがある。それぞれが、パテントに触れないように、形式を変えた重心移動方法を採用している。効果的なものもあれば、無いものもある。この先の発展が楽しみなものもあるが、中には、製作者の誇りを疑うものもある。 それらを見ている限りは、心配する問題は、まだ起きてはいないようだ。しかし、現在ではなく、この先のKーTENシステムには、やはり注意がいる。この方法を採用するには、ある自制心を必要とする。 パテントが解放されたときに、少し物理を知った設計者やハンドメイドを作る人なら、しばらくして、あることに気付く。 色々と試しているうちに、さらに飛ばそうと、錘を重くしたりする。ここまでは実に簡単なことだ。また、それに対応するように磁力を強めていくだろう。やがて、運にも左右されるが、とんでもないことが起こる。 十数年前、実験でフェライト磁石に比較して、遙かに強力なネオジュウム磁石を使っていたとき、それは起こった。 何個か作った内のひとつが、ルアーそのものの重量は変わらないのに、まるでターボがかかったようにすっ飛んでいったのだ。再現させようとして、何度も試すと、あるタイミングに限ってその現象が起こることに気付いた。しかし、それは数十回とは繰り返せなかった。 ルアー尾部の隔壁を突き破って、鉄球だけが遙か彼方へ消えていったのである。 磁力を強めていくと、当然鉄球は、なかなか離れない。現在販売しているものは、バックスイングぐらいの僅かな力で、鉄球が移動するようにしてあるが、これがもしもフルスイング時にひとさし指のリリースポイントと、タイミングが一致したらどうなるか。 磁力の制御が微妙だが、凄まじいエネルギーが一気に放出されることになる。 タイミングがあえば、加速力が重なって、ルアーは放物線を無視したような軌跡で、異次元の飛距離を見せる。これだけならけっこうな話だが、タイミングがずれればルアー本体は一撃で破壊されるほどの衝撃を受ける。 それではルアーが壊れないように作れば良いではないかと思うだろう。私も考え、緩衝材としてソルボセインなども使って試したが、現実的な方法が見つからなかった。それにこうゆうものはどこまでという歯止めが利かない。 プラスチックやウッド、または薄い金属ぐらいの材質強度では、経年劣化の分まではとても保ちそうになかった。 誘惑に負けるわけにはいかない。そこで私はこの考えを封印した。パテントで守られていたことも幸いした。 そして、その危険さを知り、初代KーTENは磁力を落として移動錘の設定を、さらに控えめにして発表した。…… ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ4 | 12:29 PM | comments (7) | trackback (0) | |
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2009,11,11, Wednesday
1996年6月に(株)週間釣りニュースさんの発行した媒体に掲載されたものです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◇大アブレ 海のルアーフィッシングを続けている限り、餌釣り以上にアブレは付き物。懲りもせず、日々その数を積み重ねている。 ルアー釣りを知らない人は、膨大なエネルギーの浪費と言うが、本当の浪費は私のタバコのようなものについて言えることだ。この20年で既にベンツ一台ぐらいの金額を空気中に吐いている。 幾つものアブレの中でも記憶に残る大アブレは、なまじ少々釣れるより、遙かに人生に彩りを与えてくれるものだ。 宮古島では、三日間荒天で、大酒を喰らい、ボーリングだけして帰ったことがある。ボールの指穴が異常に大きく開いていて、ガタガタ転がっていくのが可笑しかった。 また、大マグロを夢見て四日もかけて行ったメキシコの遙か沖から、これも荒天で、ロッドを持つこと無く引き上げたこともある。 関東近海では、シイラはいつ来るのかと、バカな興味で早過ぎる季節に二日も海上を彷徨った。 そしてヒラスズキでは、ニューポイントを捜そうとして四ヶ月もアブレたことがある。 最近では、ゴールデンウィーク直前に四国一周を試みて、四日間で三千キロ走って一匹も釣れなかった。 四国の名誉のためにアブレの内容を話すと、まずルアーのフィールドテストと、テスターである友人達に会うことが第一の目的であったことに加えて、四日間、春うららかな日並みが続き、サラシひとつ無い海を前にして為す術が無かったのだ。 数年前、同所をやはり二週間掛けて釣行したときは、各サラシに居付きのヒラスズキがいて、一回もアブレが無かった。昼間、ヒラスズキと会うには天候次第だということを今更だが痛感した。 というわけで、ひたすら四日間ポイントを見て回ることに徹してきた。魚は岸に居なかったが、四国の海の豊かさが身体に染みいるようだった。 記憶に残る大アブレには共通した点があって、いずれも距離とか、疲労とか、あらゆる分量がヘビーである。そうしたアブレは案外強烈な充実感があり、それ自体で目的に足るものがあった。 現に、四国から単調な高速道路をノンストップで帰るとき、眠くなるどころか、無性にハイな気分になって、東京を越えてこのまま何処までも行けるような気がしていたぐらいである。 アブレも大アブレなら大いに結構だ。 終。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ この原稿をテキスト化している今早朝、近所の若手から、この数日、三十分で三十バイト以上あるポイントを見付けたという誘惑のメールが!やっぱりそっちもイイな。
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| エッセイ4 | 08:35 AM | comments (2) | trackback (0) | |
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2009,10,20, Tuesday
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陽気が悪く、釣りは断念。矢口氏の漫画をモチーフにした新台「釣りキチ三平」が導入されたと聞き、急遽予定変更して釣り仲間とワイワイと打つことに。 投資上限を決め、いざ勝負。 この台、スペックは普通ですが、かなり過激。20連中の台もあれば、4分の1の台が1500ハマリ中。 それでもルアーマンは強かった。激熱四万十川アカメリーチ(写真、体長2メートルだそうです。)がサクッと当たって連チャン、終わってみれば二人ともプラスしました。 これで、お客様用の酒代は確保。どうぞ、遠慮無く飲みに来て下さい。 …ついでにパチンコ関連のエッセイを載せておきます。では。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◆パチンコとウチュウ論(2001) 我が家に訪れる友人達の半数以上は、釣り人である。世間では今頃になって、リストラだとか失業率5%突破とか言われているが、私の会う人達の失業率は、ずっーと昔からもっと高かった。ただ、生活はたいへんなはずなのに、どこか楽しそうに見える。 ある日、釣り好きなパチンコのプロやセミプロが集まっていた。元サラリーマンもいれば、元経営者もいる。酒席の話題は当然のごとくパチンコ必勝法から始まった。 パチンコなど、やったことのない人もいるだろうから、簡単に最近のパチンコを説明してみよう。〔注、現時点では台の法規制が変わり少々複雑になっているが、基本は同様〕 今の主要機種はCR機と呼ばれ、液晶画面の凝った演出に特徴がある。外見は様々だが、中身はどれも三百十五分の一で大当たりを引ける電気的なルーレットのようなものだ。当たるとさらに二分の一の確率で約六十分の一の確率変動モードに移行する。 玉が入賞する度に三百十五分の一の抽選を繰り返すから、理論的には抽選回数が多いほど有利になる。だから、釘が開いていて、たくさんの玉が入賞する台を選ぶことが基本となる。営業形態にもよるが、客側が勝つには千円で三十回程度抽選が行われる必要がある。 丸一日にすると、三千回抽選があったとしても、確率のバラツキにより、大当たりは、0~三十数回の差が結果として生ずる。そこに泣き笑いがあるわけだ。プロは毎日長時間打つ事で、そのバラツキを確率の収束という形で採算をとっている。 また、規制上三百十五分の一であっても、内部では、六百三十分の二とかにして、その当たり位置を偏らせてあるから、ますますバラツキは拡大している。闇雲に打っても、プロでさえ苦戦必至なわけだ。 そこで、必勝法だが、そんなものはないというのが普通この手の文章の帰結なのだろうが、ここは期待に答えて最後に書くつもりだ。ただし、彼らプロの方法ではない。 ![]() ヒラスズキ? 彼らとの酒席の中で、全員一致した意見があったのだが、少々複雑な気持ちである。パチンコの大当たり状況が、ヒラスズキの釣れ具合に似ているというのだ。 どんなにガンバッテもいっこうにヒットしない大ハマリがあったり、確変モードに入ったような爆釣もある。 大当たり確率八十%のスーパーリーチが外れたときなんか、磯際で痛恨のバラシといったところだ。 また、パチンコにも季節に相当する、釘の締められる時期と開けられる時期がある。朝早く行って、台確保するほうが有利なところも似ている。 そして、研究を重ねる程、結果の向上が得られること、何よりパチプロの中でヒラスズキをコンスタントに釣る人が、本業のパチンコの収支も安定しているのだ。彼は粘り時、諦め時を知っている。 すると、河口や内湾の釣りは、より手軽で確実な夕方パチンコといったところか。 …まてよ、それなら私はパチンコに勝てるのではないか。(単純です)そこでやってみた。最初はともかく惨敗が続いた。… ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ4 | 09:48 PM | comments (2) | trackback (0) | |
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2009,09,05, Saturday
◇前置き
次回の記事はお知らせとして既に用意してあるのですが、それまでちょっと間があるので、また古いエッセイをひとつ挟んでおきます。 ブログ内に載せてあるエッセイの大半は“かなり以前に書いたもの”なのですが、私なりの理由があります。 経験上、十年を経て今だに読むことが出来れば、その先十年経っても読めるはずだからです。私の書いたものの内、流行の時事ネタや自身にも理解の浅い事等が入ったものだと、当時の受けは良くても時代の流れは速く、今読むとピンとこないものもあります。 だから時のフルイにかけて耐えたものを順不同でここに載せることにしているのです。 釣りの世界に限らず、たぶん最近の自民、民主関係の喧噪も、十年も経ってから振り返ってみると、今の感想とは相当違うはずです。世の中、移ろいやすいです。また、だからこそ二度と無い現在の経験がとっても貴重なものだとも言えるのですが。 前置きが長くなりましたが、以下のエッセイは、私がMシリーズを手掛けていた2001年に書いたものです。 何から学び、何をしたかったのか、よく判ります。参考にして下さい。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 一時期、海のフライフィッシングに凝ったことがある。もう、かれこれ十年になる。内湾のような静水域のフッコを釣るのは、スタンダードな方法と道具で、そう苦労はしなかった。船上からの目前にいる小型のシイラなどは、むしろルアーより釣り易かった。 予想以上に手こずったのは、得意なはずの外洋のヒラスズキのほうだった。なにしろ、風波のある足場の悪い所である。初めてフライをリトリーブしたときは、寄せ波のほうが早くて、デシーバータイプのフライが押されて開いてしまい、小魚のシルエットを保つのも難しかった。 また、サラシの中では、根本的にアッピール力が足らず、ピンポイントを直撃しないと気付かれもしない。そんなときは、友人が隣でルアーを一投すると、簡単にヒットしたものだ。。 そして、風波に踊るラインの扱いに手間取っていると、磯場に付いた貝やカニが、ちゃっかり蛍光色のラインを挟んで離さない。彼らは、適度な柔らかさとコシがあるフライラインがお気に入りなのだった。 やがて、四苦八苦しているうちに研究も進み、意地もあり、どうにか何匹かのヒラスズキをサラシの中から引きだすことができた。 結局、ロッドはシングルからダブルハンドへ、フライは、柔らかいながら、いかなる時もシルエットを保つタイプになり、よりアッピールさせるためサイズは十六㎝まで巨大化した。それを、あまりキャスティングしないで、ロッドの長さを利用して次々とポイントを叩いてゆく。それが一番反応が良かったのだ。 ようやく見つけた、快適な方法のはずだった。はて、しかし、何か引っかかる。 これはどうも大昔からあるスズキの伝統釣法のようではないか。それに気付いたとき、熱が少し醒めたような気がした。 ここまでに、私の背中に、どれくらいの数のフライフックが刺さったことだろう。今は、ルアーのほうが楽しい場合はルアーで(ほとんどだが)、フライのほうが楽しそうな場合はフライでと、こだわりはない。 フライのヒラスズキについては、たった数年の経験ではあった。しかし、サラシから飛び出た三十回程のチャンスと、やっとランディングできた三匹からは、多くの事を教えられた。それは、現在のルアー作りにも生かされていると思う。 まず、三十回もフライに食い付いたのを見ているのに、釣れたのは、その十分の一。ラインが弛んでいたり、フックの位置や機能のせいもあるが、もしもルアーなら半数バラシたとしても十五匹は捕れた…。そう考えたくなるが、たぶん違うだろう。何故なら、フライには、どう見ても同じ魚が何度もアタックしていたからだ。ルアーなら、一度口を使った同じ魚が三度出ることは滅多にない。これに気付くまで、一見フライでの釣行日のほうが、運悪く魚がたくさんいると勘違いしていたものである。 同じ魚が何度もアタックする理由は、単純だ。アッピール力が弱い分、スレにくいし、素材が柔らかく、口に当たっただけなら、餌かどうかの判断を保留している状態が続く。また、ピンポイントを直撃したときの着水音で、驚かせていないからだろう。 これは、ヒラスズキだけに言えることではない。ポイント位置が正確なほど、着水には気をつかったほうがよい。バスで使うノーシンカーワームの効力も、まず警戒心を刺激しないからだ。また、マグロでも、ナブラの中に重いジグをズボッとさせた一瞬で、ナブラ自体を沈めさせてしまうときがある。クロマグロが、特に軽いミノーに反応が良い(釣り上げられるかは別として〉のも、こんなところに理由のひとつがある。 よほど何かに狂っていないかぎり、頭の上に石を投げ入れられて、逃げない魚はいない。 … ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ4 | 08:42 PM | comments (2) | trackback (0) | |
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2009,07,27, Monday
海に近い、田舎の一人暮らしだというと、気ままにのんびりと生活できて、いいですね、とよく言われる。
そんな日もときにはあるのだが、日常はけっこう賑やかだ。釣り仲間の出入りがあるのはもちろん、電話は都会にいたときより頻繁に鳴る。 釣りの話なら大歓迎なのだが、予期せぬ相談事や、得体の知れない所から、お墓を買いませんかとか、イタズラファックス百連発とかが、昼夜問わず有り、静かな生活とはほど遠い。 そんな中、このひと月は、釣りの事よりS2000はどう?という電話が増えた。釣り仲間には、前々から車を買い換えると言ってあったからだと思うが、同好の者は意外に多いらしい。 理由はともあれ、海岸に直接車で入ることをやめて十年。以前は四駆を乗り継いだものだが、これで、二台続けてスポーツカーを選んだことになる。 狭くて荷物は積めず、リクライニングはできず、時計もない。ただ走り、曲がり、止まることが得意な車。定速に乗せるのに、6回もギヤチェンジしなければならない車。車内にロッドを入れるのは、魚をタモに入れるより難しい。 強いて便利なところをあげれば、幌を上げてオープンにして、ウェットスーツを乾かしながら帰れることぐらいか。 それと大事なことを忘れるところだった。慣れ親しんだいつもの道が、新鮮で、運転中眠くならない。当たり前だが、風は常に逆風。前からの風を浴びて気持ちいい。何故か私は逆風が好きなのだ。 ◇ウォブンロール ところで、車とルアーって、共通するところがあって愉快である。 車の挙動というか、運動性を突き詰めて設計すると、やはり重心が大事になるという。よくできたスポーツカーは全体の計量化から始めて、そのハンドリングのためにエンジンとかの重量物を低く、またできるだけ前後車軸の間に置いて、前後末端のバンパーに近い部分は軽くしてある。 今度の車はその点徹底していて、バッテリーやスペアタイヤまで中央に近づけてあった。こうすると、ハンドリングが軽快になり、挙動も制御し易くなる。人車一体感に必要な要素だ。 ルアーでいえば、全般に外皮、つまりプラスチックやコーティング部分があまりに厚くなると、ローリングしづらくなるし、前後のアイ部分が重くなれば、ウォブリングしづらくなる。 だから、ハンドメイドルアーを大事にするあまり、コーティングを追加で厚くするのは、着水してからの運動性を低下させることになる。 また、車もカーブ中ローリングしている。難しい話は避けるが、そのロールにも軸があって、車体前後で異なっている。設定は技術者の腕の見せ所である。 これはルアーにも応用できる。それぞれのルアー固有の泳ぎの本質でもある。 このことをよく知れば、たとえ原子力潜水鑑であろうと、リップを装着して鯨のように泳がせて、なお乗員を船酔いさせないものが設計可能ということだ。 ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ4 | 03:27 PM | comments (2) | trackback (0) | |
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2009,02,12, Thursday
日本中、あるいは海外の、様々な土地で釣りをする機会に恵まれてきた。出会う人々とは釣りという共通の趣味のおかげで、特別な努力をしなくても意志の疎通は容易だった。
文化圏が全く異なっていても、各国の釣り人の身振り手振りは、呆れるほど似ている。ある人は、訛りのある英語で喋りながら、広げる手は開くばかりで際限がない。逃げた魚は世界中でデカイのだ。また、巨体に似合わず、はにかみながら記録物の魚を釣り上げた時の好運を語る人もいる。皆、以前身近な何処かで会ったような気がする。 釣りにおける楽しさや苦さといった共通した体験が、言語の不足を補ってくれるのだ。 ◇共通の趣味 一方では、こういうこともある。釣りをしたことがない外国人との交流があったときに、つい拙い言葉に頼りがちになって、要らぬ誤解を招いたことがある。そのまま放っておくわけにもいかないので、何か共通の趣味がないか探してみた。 それは同時に相手について、知りたかった事以外も知ることになるので、少しばかり気を遣った。 まず、音楽だと共通の体験としてリアルタイムに聞いた曲は、年代に開きがあると、重なるのは僅かな楽曲しかない。スティングとか長年一線で活躍している人のものに限られてしまう。クリームやCCRのレコードがあるというと反応は微妙だった。そして、歌は当時の個人的な経験とリンクして記憶されているものだから、年代を二つ超えることは難しい。 また、本が好きといっても、これは若い時の苦い思い出があるせいか、私の方が引いてしまう。それぞれの想像力とか理解力に委ねられている部分が大きく、本の内容によっては全く別物になって、共感どころではなくなる恐れがある。 スポーツは、たとえば野球であったとして、ファンというだけだとレッドソックスと広島とでは同じ赤がらみぐらいしか理解できない。 というわけで、ここは無難に、当然のごとく映画の話に落ち着くことになった。 ◇映画 改めて考えると、本当に世界中の大多数が同じ物を見ているということは凄いことだと思う。思想文化のせいで特定の映画を排除している国を除けば、最大の共通体験ということになる。 本と違って、想像力は限られた俳優と映像に縛られてしまうが、それによって共通体験が可能になるのだから仕方がない。文字からの情景の構築が苦手な人でも、製作スタッフの想像力の助けを借りて、視覚化された別世界を覗くことができる。 最近の話題作、ロードオブザリングでいえば、トールキンの原作の時点では、読んだ人々の頭の中には各自別々の情景があったはずだ。ある人はあのスケール感の映像化は無理と諦めたり、登場人物と恋人を重ねてみたり、RPGゲームの原案としたものがいたり、と個々の体験であった。 あの大著を映画化するのは、熱意とか商売とか以上に勇気も必要だっただろう。他人の想像力を僅かでも超えて視覚化しなくてはならない。これを実現することは大変なことだが、細やかな部分まで成功している。完璧なCG技術が完成して、なおそれに頼り過ぎない余裕がある。機が熟すのを待っていたかのようだ。そして、この映画も貴重な共通体験のひとつになった。… ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ4 | 09:00 PM | comments (2) | trackback (0) | |

