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2008,10,28, Tuesday
それは昨今の干潟ブームが興る以前、まだ、会う人は知り合いばかりという、静かな夜の海での出来事だった。
ルアーを投げる度に、潮に乗って流れてくる千切れた海苔がフックに絡んで閉口するが、それさえ無ければ、毎回のようにアタリがある。 手持ちの色々なルアーを試していたところ、その日はウッドのリップレス105に反応が著しかった。浅場から船道の深場にかけて、チョンチョンとイメージでは5センチぐらい動かしてから、スーッと優しく、ゆっくり引くとスズキが盛大な補食音をあげる。 このルアーで、こうした使い方をすると頻繁に飲まれてしまうので、いくらバーブレスにしていても、フックを外すのが厄介だ。時にはエラからルアーが飛び出して、腹の辺りにスレがかりしてしまうものもある。当時の105には、小さめの先端がネムリのフックが付いていたから、なおさらそういう現象が起きた。 だから仲間内では、しばらくこのルアーを封印していたのだが、その後、幾分フックを大きくして、飲まれ対策を施して再び使うようになった。(ここにTKLM90の原型になる考え方がある) ◇つっかえ棒 そして、ルアーを飲み込んだスズキを、ランディングしてみると、たまに口の中の何処にもフッキングしていないのに、ルアー自体がつっかえ棒となって、外れない場合がある。主に、ルアーを頭部から飲み込んだときだ。これは、高速リトリーブでラインにテンションがかかり過ぎている状態での釣りでは、滅多にない。 ![]() ◇一本針 私はそこで、かって見たことのある一本針のことを思い出した。一本針というのは、太古の昔、まだ針の材質が動物の骨だった時代からあり、もしかしたら、ごく普通のフトコロのある曲がった針形状より先に作られたかもしれないものだ。 たぶん二十年以上前になるが、どこかの雑誌で、餌釣り師が一本針を手製して、それにイソメか何かをハリスまでコキ上げて、メジナを釣ったという記事を見たことがある。 私も作ってみたが、ハゼとかカレイなら釣り易いが、この針には致命的な欠陥がある。折れやすく、呑まれ過ぎると取れなくなってしまう。また、魚の歯によってはハリスが切れる。それに何よりも、あらかじめ想定した口の大きさの魚しか釣れないのだ。普通の形をした針なら、大小関わらず、とにかく引っかけることはできるが、一本針のほうはハゼ用の長さだと、まずフッコは掛からない。その反対は、なおさら無理があるだろう。そんな理由で、いつのまにか忘れられた針の形式になったのだと思う。… ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ3 | 12:13 AM | comments (0) | trackback (0) | |
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2008,10,22, Wednesday
掲載する前に、少しお話を…。
アンケート募集の際、モニターのTHさんから、昔、私の書いた一文「シーバシング・ハイ」をメールで送って、とリクエストがありました。 題名まで覚えていてくれたのは嬉しいものです。そこで捜すことに…。 初出は90年の旧アングリング誌。その後、やはりリクエストがあり、編集長の了解の上で、カタログにも使いました。THさんが見たのはこれですね。 初出も、エッセイ風のものはあるの?というリクエストだったので、今回三度目です。ありがたいことです。 ![]() 自分で読み返すと…。これ、30歳ぐらいなのでチョット照れるけれど、K2Fに関わりスッタモンダしている今から見ると何故かジンと来るものがあります。 それまで釣り指南の類はたくさん書いていましたが、エッセイはこれしか残っていません。その前後何年も書いていない時期のものなので、私にとっても貴重な青春?の一文かも。 そこで、THさん、カタログのは少し変えた記憶があるので、オリジナルの一編を無修正(^^;)で、テキスト化してみました。おそらく最後のリクエストになるでしょう。ここに載せておきます。では…。 ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ3 | 12:23 AM | comments (2) | trackback (0) | |
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2008,07,25, Friday
免許の更新に行ってきた。奇跡が起きて、初めてゴールド免許になった。好運とGPSレーダーのおかげである。
講習会場に行ってみると、駐車場からして雰囲気がいつもとは違う。軽とファミリーカーしかない。車高を下げている下品な車は自分だけのようである。講習時間は短く、三十分。係員の慣れすぎた説明の優しさは、免許停止講習のときとは雲泥の差だった。 帰り道に、会場で隣席したオバチャンの軽自動車が四十キロに満たない速度で前を走っていた。優良ドライバーの運転とやらを何気なく見ていたら、なんと最初の赤信号に気付かず交差点に進入して、他の車のクラクションの中を強引に走り去っていった。差し掛かった車が、若者の乗るスポーツカーでなく、重いワンボックスカーだったら、制動距離が長引いて衝突しただろう。 優良免許更新の帰りに事故。初詣で事故とか、大物を釣った帰り道に一発免停(これは私)とかもあるが、いずれも笑えない話だ。 そう言えば、何度も事故を起こす人というのは、反省はするものの忘れた頃にまた起こす確率が高いように思う。 数ヶ月前、広い駐車場で五十メートルも先から大型乗用車がバックで走ってきて、そのまま私の車の左側に突っ込んで止まった。すぐさま、人の良さそうなお兄ちゃんが降りてきて謝ってくれたのだが、聞けばまだ若いのに五回目の事故だという。半年に一回のペースになる。保険会社の担当が愚痴るのも仕方のないところだろう。 後日、本人からお詫びに伺いたいなどと言ってきたが、あの運転だと今度は家に突っ込まれそうな気がして、断った。最近、地元だから彼の車を見かけたのだが、バンパーの凹みが増していた。免停にもなっていないのが不思議だ。 ( > > > 続きを読む)
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2008,06,12, Thursday
先日、長年馴染んだ鼻ヒゲを剃った。ついでに髪も短くしたが、まあ、こちらの方はあまり変わりないようだ。
おかげで翌日、近所の近視のオバサンに挨拶しても、素通りされてしまった。後で聞くと、そのときは坊さんにも、ヤクザにも見えたそうである。 これには理由がある。信じられない話だが、ある日突然、私の鼻の嗅覚が、一時的とはいっても約一週間、何十倍にも鋭くなってしまったのだ。なるべく話がおおげさにならないように、いつも気をつかっているつもりだが、内心は数百倍だったのではないかと思っているぐらいだ。 原因は、はっきりとはしないが、たぶん、カゼをひいたとき、すすめられるままに数種類の薬を服用したことがきっかけだと思う。ビタミン剤以外はめったに口にしないのに、このときは大切な行事を控えていたので、漢方薬と合成薬を混合して飲んでしまった。 すると、カゼをひいているはずなのに、額は冷たくなってくるし、気分がますます悪くなってきた。さあ、それからがジゴクである。ボーッとしてはいても、何故かあらゆるもののニオイだけが気にかかる。というより、まず我が家の中が臭くて居られない。外へ飛び出しても、何処かでビニールでも燃やしているようなニオイがする。とにかく、風下にいると、遠くにいる人のニオイまで感じてしまう。ここが田舎でなくて都会なら卒倒してしまっただろう。しかたなしに家にじっとしていても、やがて人は眠らなくてはならない。その布団がヒドイ。 鼻ヒゲにも様々なニオイがこびり付いてしまい、我慢できずに剃ってしまった。 ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ3 | 10:32 AM | comments (0) | trackback (0) | |
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2008,05,16, Friday
ルアーマンは、フッキングの瞬間に声をあげるときがある。思いつく所では、ヒットォー、ヨシッ、クッタァーとか、人それぞれだ。バス釣り育ちだと、フィーッシュとかフィッシュオンとかも加わる。
中には、いきなりバレナイデーと叫んだりする人もいる。私だと、ほとんど無言だが、餌釣り出身のせいか、たまにノッターというときがある。 昔、TVで若いバスプロが、フィッシュ、フィッシュと連呼していたのを初めて見たときは、あまりの違和感に目が丸くなったものだ。訳すと、魚、魚と叫んでいるのだから、聞き慣れるのには時間がかかった。 フィッシュオンというほうは、万国共通で魚が乗るという感覚があるらしく感心した。 ◇問題 魚がルアーを食おうとして、フッキングする、ごくわずかの時間にラインから伝わる情報は、分析を拒む程の量がある。 熟練するのに従って、一瞬にして本物か根がかりかを判断できるし、感覚の研ぎ澄まされたときなどは、サイズすら判ってしまう。 そして、相手の魚もまた一瞬のうちにシマッタコレハホンモノデハナイと察しているはずだ。問題は、これの少し前、魚がルアーを食おうとするところだ。 ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ3 | 12:11 AM | comments (2) | trackback (0) | |
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2008,05,08, Thursday
必要あって、家具の配置換えをすることになった。タンスがヤケに重く、ひさしぶりに開けた引き出しの中から、なつかしい釣り雑誌が出てきた。
何でタンスの中に、と思われるかもしれないが、それは、頻繁に引越していた時期があり、面倒なので、家具のあらゆる余分な空間に、目の前の物を押し込んでいたのである。 引越も慣れすぎると、一々梱包して運ぶことなどしない。今の家に引越て来たときなど、机の上の物を片づけずに(飲み終えたコーヒーカップでさえ)ガムテープで止めて、大型トラックにそのまま積んだぐらいなのだ。 だから、引越した当日から馴染んだ空間になる。新鮮な気分は味わえないものの、すぐに日常生活を取り戻せる。 すっかり忘れていたおかげで、普通なら、とっくに処分していたはずの古い雑誌を見ることができた。60年代のものが何冊かあり、70年代、80年代と、今となっては手に入れようのないものばかりだ。紙質の悪い物は、開こうとすると、背表紙が壊れてバラバラになった。 考えてみれば、単行本や文庫本といったものは、それが時代を超えて読み継がれるものであるなら、いつでも新しい装丁のものが買える。シェイクスピアやウォルトンの本なら、200年後でも本屋にあるだろう。 そこへいくと、雑誌というものは、余程意志を持って保管しないと、いつしか失われてゆく。かえって貴重なのだ。さらに雑誌は、それぞれの時代の雰囲気を反映しているから、時々の影響力という点では、普遍的な本と同様の力がある。 ( > > > 続きを読む)
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2008,05,01, Thursday
ルアーマンも方々に出かければ、先々で多様なジャンルの餌師と肩を並べて釣りする機会が多くなる。私もたまに餌釣りをするし、ルアーをやらない釣り仲間もいるから、餌釣り師がルアーマンに対してもつ気持ちも解る。
ルアーが一般化して見慣れたせいか、常識を守っていれば、かつてのように互いに煙たがることも少なくなった。 ◇石鯛師 先日ヒラスズキ釣りに行ったら、石鯛師が先行しているらしく、小高い岩場にピトンで竿が固定してあった。餌らしきヤドカリの残骸があったが、人影がない。 竿が大きく曲がって海面に突き刺さっていたから、根掛かりしたまま何処かへ行ったのかな、と思う間もなく、別の理由で竿が曲がっていることに気付いた。魚が掛かっていたのである。 遠くでルアーマンがロッドを振っていたが、彼以外に人がいない。どうもこの無人でのされている竿の持ち主は彼らしいのだ。大声で呼んでみると、事の重大さに気付いて走ってきた。 彼が戻るまで、義理堅い魚は逃げることもなく、揚がってきたのは少しバテぎみだったが六十センチ超の立派な石鯛だった。竿が長いので、動かない魚でも抜き上げには相当の力がいる。ヒラ兼用の石鯛師は、苦笑いしながらお礼を言ってくれるのだが、今までアワセが早すぎたのかなーと呟いていたのが可笑しかった。 ( > > > 続きを読む)
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2008,04,20, Sunday
近頃ではリリース談議が落ち着いた感があるが、あえてここで取り上げてみたい。
釣った魚をどうするかは、大きく分けて三つの方法がある。①全部リリース。②全部キープ③リリースもするが、食べることもある。あなたはどれだろう? 私は常々リリースについて質問を受ける度に、放すことも食べることも大切、と答えてきた。つまり③ということだ。 ◇実際 もちろん、リリースや食べることの比率は、ルアーフィッシングに限っても魚種や状況によって様々である。限りなく①に近づく場合もあれば、すべて②になることもある。 例えばスズキでいうと、外洋の岸からのスズキならキープ率は高くなる。私で三割ぐらいか。(現在は一割未満)これが東京湾などの内湾だと、放すことが多くなる。理由は簡単、外洋でスズキを岸から狙っても、全体の魚体数に影響するような数は滅多に釣れないことと、食べることを考えると内湾のものよりウマソウに見えるからだ。 ![]() ただし、魚がいる場所まで、こちらから近づける手段(ボートなど)が強力になればなるほど、リリース前提の釣りになる。それは、外洋、内湾を問わない。 ボートで釣りをすると、たまに不安になるほど多数釣れることがある。そんな時は釣れないルアーにチェンジしたり、出来るだけ少数でも楽しめる方法をとる。仲間内では、まだ釣れていない人が何事にも優先され、なるべく全員にヒットが得られるようにしている。 ( > > > 続きを読む)
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2008,04,16, Wednesday
購入したルアーの動きを、まず自宅の風呂場で確かめた人も多いだろう。これが自分でルアー製作までする人であれば、プラグと一緒に風呂に入って小一時間過ごしたことも一度ならずあるはずだ。
大人がオモチャに興じるようにルアーと入浴している様は、どう見ても頂けないが、こんな時にこそ、アイデアが閃いたり、様々な思いが駆け巡るものなのだ。 だから私もつい長湯になって、のぼせて倒れかかったことも幾度かあった。 ![]() ◇ルアーを知る ルアーは水と空気という流体に関わるものだ。その二種の環境を等分に行き来して、時には八十度を超す車のトランクに押し込められ、直後に水で急激に冷却され、たまに生物に噛まれるばかりか、錨の代わりに使われて、地球との無謀な引っ張り合いを強要される。 さらに、投入して着水までは尾部を先頭に空気を切り裂いて、安定した高速移動を要求され、水中では進行方向を反転し、頭部を先頭に今度は適度にバランスを崩しながら振動していなくてはならない。それも一度どころか一生同じサイクルを繰り返せる根性まで試される。 ( > > > 続きを読む)
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2008,04,10, Thursday
「スポーツは健康を害する」とかいう説を唱える学者の意見がマスコミを賑わしたことがあった。曰く、スポーツを日常的に行う者の平均寿命は、そうでない者と比較して短い云々、とかいうものだった。
統計を取れば、そうなるらしい。スポーツ選手の例を取り上げて説明されれば、一般人の我々以上に骨折や身体の故障が多いのは当然であろう。長生きしたければ、散歩と健康体操ぐらいにとどめておいた方がいいそうだ。 そうした説にも一理あるが、時々巷間に現れる健康に関する説には失笑を買うものがある。 タバコを一本吸う度に破壊されるビタミンの数は何㍉㌘で、脳細胞は何千個ずつ減り続ける、などとあった。 計算してみると、私の身体の中のビタミンCはとうに枯渇して、脳細胞は残り僅かということになる。 その他には、コーヒー、酒などを過飲し、寝不足等、習慣化すれば、それぞれ寿命が何年縮むとある。それらを全部足してみると、やはり私はとっくに死んでいるのであった。 そう言えば、心臓の鼓動数は一生涯でほぼ決まっていて、寿命の要因になっている、というのもあった。スポーツどころか、うっかり恋も出来ないということだ。 それらの説に異を唱える気はないが、人間はもっと総合的な生き物だ。健康だけでも、金だけでも、独りでも生きてはゆけぬ。 ( > > > 続きを読む)
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| エッセイ3 | 08:07 PM | comments (0) | trackback (0) | |







