1982年。私達タックルハウスは、産声を上げました。まだ、ルアーで魚を釣るということがこれほど日本に広まっていなかった頃。

街の釣具店にあるルアーは外国から輸入されたものが多く、道具も極めて高価。

対象魚、釣り方、アングラーの皆さんは手探り状態で、まだまだ今ほど研究はされていませんでした。

それでも、あるアングラーは輸入された道具を駆使して日本の魚との出会いを楽しみ、あるアングラーは自らの手でルアーを作り、日本におけるルアーフィッシングを楽しんでいました。

タックルハウスの一番はじめのルアーは、トラウトを湖で狙うための「ツインクル」でした。マス類がルアーで釣れるということは知られていたのですが、海外のルアーをそのまま使うのではなく、日本のマスを釣るのにぴったりなルアーを自分たちで作ろうと立ち上がったわけです。

そして箱根・芦ノ湖に何度も何度も通い、テストを重ね、日本のフィールドにあった、トラウトミノーとして完成させたのです。

ルアーをキャストしていると、まだまだ「引っ掛け釣りをしている」という誤解も多かった頃ですが、少しずつルアー釣りも認知され、芦ノ湖以外でもツインクルでの釣果が寄せられるようになりました。

湖のトラウトとなると、すでに当時からニジマスやブラウントラウトなどの外来魚が放流され大型化したものが人気でした。

しかし、中には日本古来の魚との出会いをルアーと楽しみたいと言うアングラーもいました。ある人は山に登り、イワナやヤマメを。ある人は海に出向き、古来からの日本の漁法を参考にして、日本のフィッシュイーターを求めに。

確実な出会いを求めるためには、魚のいるところを知らなければなりません。それはいつなのか、どこなのか、天気はどうなのか。今でも皆さんが頭を悩ませていることかもしれません。 それは当時から同じでした。さらに当時は、道具が少ないという意味で、今よりもっと出会いへの道のりは遠かったのです。

例えば、海で。当時のルアーでは、まず、探れる範囲が今以上に限られていました。あと、もう少し遠くまで届けば、きっと。そんな思いをしているアングラーが沢山いました。

その悩みを解決したのが、「K-TENシステム」だったのです。今でこそ当たり前の重心移動ですが、圧倒的な探索範囲で、多くのアングラーの皆様にご支持をいただき、今なお生産を続けているモデルとなっています。

それまでの経験をもとに私達が今でも取り組み続けているのは、常に技術を向上させつづける、ということです。

もっと、レンジを浅く。もっと、飛距離を。もっと、丈夫に。もっと、軽やかな引き心地に。もっと輝きを。もっと、もっと、もっと。

一つを求めると、一つまたはそれ以上の不具合が生じることがあります。それを解決するために、ボディ形状、肉厚、内部構造、素材、ウェイトのサイズ、素材、形状……。0から始めなければならないこともあります。

しかし、あきらめることなく取り組んで行けば、必ず光は差してくるのです。壁が高ければ高いほど、それを乗り越えた時の達成感は大きく、さらには、新しい技術を手に入れることができるのです。

常に技術の向上を求めた私達が、この35周年という少し半端な節目に、皆様に記念モデルをご用意いたしました。それが、コンタクトブリット170シンキングワークス・ゴールドなのです。

常識にとらわれない、という意味で「脱常識」をコンセプトに製品を送り続けているコンタクト。

オリジナルのブリットペンシルは、R−UNIT2.0を備え、これまでのプラグとは質の異なるイレギュラーアクションを起こすことで、海のキャスティングゲームで、多くのアングラーの皆様にお使いいただいています。

シンキングワークスは、オフショアゲームにおける「一撃必中」を確実にした、ウェイトをチューンしたヘビーウェイトとなっていますが、この記念モデルでは、さらなる脱常識を用意しました。

主に、ルアーにおいて採用しているウェイトは鉛、最近はさらに比重の大きいタングステンを使用するケースもありますが、記念モデルでは純金を採用しました。

結果、質量は350gという、スーパーヘビーなペンシルベイトが完成しました。昨年デビューしたCBP170のおよそ4.6倍、今春リリースとなるCBP170SWのおよそ3倍というこの重さは社内でも、果たしてこれがペンシルベイトなのかという声も上がるほど。しかし、ルアーとしての価値だけでなく、資産としても価値のあるモデルができたと自負しています。

ロッドパワーの、アングラーの体力の、沈下スピードの、お財布の、これまでのルアーのすべての常識を、限界を超えるモデルとして、すべてのバランスを完全に無視しての生産となっています。なお、本製品のご使用によるタックルやお体の破損、ご購入によるご家庭の崩壊等のトラブルについて、弊社は一切の責任を負いかねます。